10月9日の記事で後見制度支援信託(以下、支援信託)を取り上げた際、不祥事対策のための制度と書きましたが、制度趣旨としては、被後見人の財産を適切に管理するためのとするのが最も適切な表現になります。それは、仮に後見人に不正の恐れがなかったとしても、支援信託の導入の必要があると裁判所は考えているからです。

現在、弁護士が支援信託に関与するルートとしては、①複数選任方式②リレー方式の2つがあります。①複数選任方式は、既に親族などが後見人に選任されている場合に、弁護士を新たに後見人として選任して、支援信託の導入の適否を検討する方式であり、②リレー方式は、頭書の後見人に弁護士を選任して支援信託の導入の可否を検討し、支援信託を導入した後に親族後見人に後見人の職務を引き継ぐものです。リレー方式においては、そもそも後見人がいませんが、複数選任方式においても親族後見人が不正をしている可能性があるから支援信託を導入するわけではありません。

私も、就任後誠実に職務をこなしている親族後見人について、支援信託の導入を検討するべく後見人として追加選任されたことがあります。自分は不正をしていないので支援信託を導入する必要はない(そのためだけに専門職に報酬を払いたくない)という親族後見人の心情はわからなくもないのですが、こうした場合でも導入はやむを得ないものといえるでしょう。また、預金は解約し、不要な株式・不動産は売却する等、被後見人の財産を金銭化し、信託銀行に信託するという支援信託の性質上、必ずしも金銭信託が資産運用の点で被後見人に有利でないこともあるという指摘がありますが、資産の増殖は後見人の職務として求められていないのですから、支援信託を否定する合理的な理由にはならないと考えます。