自賠責保険における高次脳機能障害は、脳の器質的(解剖学的所見に認められるような性質という意味)損傷を前提とする高次脳機能に生じる障害を指す。
裁判上、高次脳機能障害の認定では、①頭部に加わった衝撃の程度、②意識障害の程度(JCS、GCS)、③精神症状の具体的内容が高次脳機能障害の典型症状(認知・行動・情緒障害)と合致するか、④精神症状の発症時期、⑤精神症状の推移(高次脳機能障害の場合、時間経過とともに軽快する)、⑥CT、MRI以外の異常所見の有無、⑦CT、MRIによる脳委縮、脳室拡大の信頼性、⑧画像所見の得られた時期(事故直後から3か月後までの経過がわかることが最善)、⑨他の診断(統合失調症、PTSD)の有無、⑩被害者の行動、状況、治療を受けているか、症状の経過等が判断のポイントとなる。