被後見人の財産調査

後見業務を行う中で気を使うことは様々ありますが、中でも私が一番気になるのは財産の調査です。

後見人に選任されると、まずは申立記録を謄写して事件の内容を把握することになります。申立記録には財産目録が付されておりますが、その内容の正確性としては、完璧に近い形で網羅していることもあれば、不十分なこともあり、事件によって様々です。

財産調査における悩みどころの一つは、申立記録の記載以外に財産があるとする場合、どの程度まで調査する必要があるかというところにあると感じます。極端な話、全ての金融機関に対して口座の有無の照会をかければ漏れはないでしょうが、現実的ではありません。土地についても、全国全ての市区町村の土地を調べることは不可能で、親族等からの聞き取り、固定資産税の通知等で把握するしかありません(固定資産税の発生しない山林等は把握できませんが)。郵便の転送は有効な調査手段ですが、後見人への郵便の転送自体議論のあるところであり、必ずしも旨くいくとは限りません。結局、どこまでも未発見の財産があるというリスクが残ることになりますが、財産が存在する根拠となる記載や記録がある限りにおいて、調査を行えば十分であると考える他ないように思います。

現在においては、個人情報保護ということもあり、様々な場面において本人確認を求められるため、調査をするにも一苦労です。後見人の就任手続に必要な書類も、各社によってまちまちなので、事前に連絡をしないで行くと思わぬ二の足を踏むこともあります。せめて、銀行であればどの銀行も必要書類は統一してもらいたい・・・と願いつつ、財産調査に駆けずり回る毎日です。

ちなみに、上場株式やREIT、ETFといった金融商品の口座情報については、株式会社証券保管振替機構に対する登録済加入者情報開示請求(長い・・・)が有効なようです。後見業務を行っていなければ一生縁がなかった請求かもしれません。

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