専門家が公正証書遺言を勧める理由

遺言をする場合、一般的な方式としては、自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言の3つがあります。秘密証書遺言を除いた2つが良く使われていますが、私を含め専門家がお勧めするのは、圧倒的に公正証書遺言であると思われます。今日はなぜ公正証書遺言をお勧めするのか、理由をお話ししたいと思います。

まず、公正証書遺言は、自筆証書遺言に要求される検認と呼ばれる手続が不要であるということが大きいでしょう。検認は、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に申し立てることによりますが、実際に検認が行われるまでにはある程度の日数が必要となります。また、実際に出頭するか否かは別として、全ての相続人に検認が行われる旨を通知する必要があります。公正証書遺言であれば、検認が不要であるため、スムーズに遺産分割の手続を進めることができます。

もう一つの理由としては、遺言書に記載された遺産分割の内容がそのまま実現できることが挙げられます。自筆証書遺言は法律で方式が定められているため、方式の違反があれば遺言としては無効となるリスクがあります。また、方式を満たしていても、相続財産(特に、不動産)の特定が出来ていない等の理由で、結局遺産分割協議を行わざるを得なくなることもあります。公正証書遺言では、公証人が遺言の文面を作成するため、こうした問題はほぼ生じなくなります(公証人に正確な情報を伝えるということが大前提です。)。

費用の事を気にされる方もいらっしゃるかもしれません。公証人に支払う手数料は法律によって定められており、相続財産の額や遺言の内容によって変動しますが、3~5万円となる場合が多いと思われます。また、弁護士などの専門家に文案作成を依頼する場合の手数料は、公証人の手数料とは別に発生しますが、その手数料も10万円程度となる場合が多いと思われます(弁護士報酬は自由化されているので、詳細は弁護士との相談になります。)。

また、公正証書遺言は、証人2人が必要となるため、証人から遺言の内容が漏れてしまう危険性を懸念される方もおられますが、相続人でない親族・知り合いの方を証人にするなどの場合でない限り、証人から遺言の内容が漏れることは想定できないように思います。証人のめどが立たない場合は、公証人に証人の手配を依頼することも可能です。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

上部へスクロール