弁護士に「専門」を求める要因としては、一生に一度あるかないかの法的トラブルに対して、最大限有利な状況で臨みたいという希望があるものと思われます。それはそれで一定の合理性がありますが、実際の事件を解決するにあたっては、弁護士と依頼者の信頼関係も重要になると思います。
たとえ専門的な知識を持つ弁護士に依頼したとしても、全く話を聞いてくれなければ依頼者には不満が残ることでしょう。勝訴すればともかく、敗訴や不利な条件での和解に終わればなおさらです。また、特定分野に強いという弁護士が、本当にその分野の専門家か否かは議論の余地があります。中には、刑事事件において認められる見込みのない保釈請求を繰り返し、保釈請求回数分の追加料金を請求するといった不適切な専門家もいるようですが、それでは専門家に頼んだ意味はないと言っていいでしょう。
私は、得意分野を持つことも大切ですが、依頼者の方の抱える問題が解決できるよう忌憚のない意見を言い合える関係を築くことも重要だと考えております。これからも、一人一人相談者の方が抱える問題について一緒に悩み、解決に導けるよう努力してゆきたいと考えております。