今回、賃貸借契約に関する規定にも改正があります。従来の判例が認めていた内容が明文化されたとはいえ、これによって当事者間の紛争解決がスムーズになるという効果はあると思います。主な改正は以下のとおりです。

① 不動産の賃借人に不法占拠者に対する妨害排除請求権及び返還請求権が認められました(新法605条の4)。

② 賃借人にも一定の要件のもと修繕の権利が認められました(新法607条の2)。古い物件で、賃貸人が修理を渋っている時に有効と思われます。

③ 敷金の規定が新設されました(新法622条の2)。敷金とは、「いかなる名目によるのかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」とされました。この中で重要なのは担保の目的となります。今後は、敷金以外の金銭の交付(礼金)については、担保の目的がないことを明確にする必要があると思われます。

④ 賃借人の原状回復義務に、通常損耗及び経年劣化が含まれないことが明確になりました(新法621条)。なお、家具の設置による床・カーペットのへこみ、電化製品の後部壁面の黒ずみ(電気焼け)などは通常損耗に含まれると解される一方で、引っ越し作業のひっかきキズ、タバコのヤニ、ペットによるキズ、日常の不適切な手入れによる毀損は含まれないと解されております。