新たな民法では、当事者が権利についての協議を行う旨の合意が書面又は電磁的記録によってなされた場合は、最大1年間時効の完成が猶予されるという規定が新設されました。

 これは、当事者が裁判所を介さずに紛争の解決に向けて協議をし、解決策を模索している場合にも、時効完成の間際になれば、時効の完成を阻止するため訴訟を提起しなければならない実情が、紛争解決の柔軟性や当事者の利便性を損なうとして、新たな完成猶予事由として設けられたものです。

 やっかいなのは、債務承認が時効期間の更新事由に当たるということです。債務の承認は黙示的なものでもよいとされており、当事者間の協議が債務承認と協議の合意のいずれに該当するかによっては、消滅時効の完成を看過することにもなりかねません。

 気になるのは、催告や承認といった当事者の一方的意思表示とは異なり、書面又は電磁的記録による合意が必要となることです。あまり厳格に解釈すると、1年間の完成猶予すら認められず不測の損害を被る可能性もあります。今後の展開に注意が必要でしょう。