昨年の記事でも紹介したとおり、成年後見人は、相続人の意思に反することが明らかなときを除き、相続人が相続財産を管理することができるに至るまで、特定の財産の保存行為、弁済期が到来した債務の弁済、死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結ができるようになりました(民法873条の2)。今回は、この規定を用いて死後事務を行った感想を述べたいと思います。

まず、死体の火葬に係る契約の締結が家庭裁判所の許可を要するとする点ですが、葬儀社に火葬と葬儀を一緒に依頼することが通常であり、葬儀については事務管理として行うことになると、何故火葬部分のみ裁判所の許可が必要なのかという疑問が生じます。ただ、葬儀は少なからず宗教的側面があり、裁判所の判断になじまないので、許可の対象を火葬に限っているのかもしれません。

また、弁済期が到来した債務の弁済は要許可行為ではないのですが、債務の弁済のために預金を引き下ろす行為については許可を要するとされております。現代においては、預金が貯蓄ではなく決済手段として機能しているのですから、これでは弁済期が到来した債務の弁済が要許可行為と言っているに等しいと思われます。債務の弁済のための振込については許可を要しないとすべきでしょう。