うだるような暑さが続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。私はつい冷たいものを採りすぎて体調を崩すことが多く、体調の管理には十分気を付けて行きたいものです。

さて、7月10日の記事にて、相続についての活動についてお話しいたしました。しかし、相続財産がないかあっても負債が多い(と思われる)ため相続を行いたくない、あるいは他の相続人とこれ以上関わりたくないという方もいらっしゃいます。このような場合には、速やかに相続放棄の手続を採ることをお勧めいたします。

なお、遺産分割協議の中で、自己の相続分を取得しないことをもって「相続放棄」をしたと説明される方もおられますが、それは正式な相続放棄ではありません(そのような手続をとった場合、相続債務が法定相続分に従って承継されます。)ので、注意が必要です。

相続放棄について

相続放棄に関する相談に多いのが、被相続人と疎遠になり生活状況がわからないまま過ごしていたというケースです。

この場合、被相続人の死後数年後に金融機関・債権回収会社から被相続人の死亡と残債務がある旨の通知が来ることもあり、中には「3か月経過しているから相続放棄は無理だ」と思われる方もおられるのですが、民法は、相続の開始があったことを知った時から3か月以内(熟慮期間といいます。)に相続放棄をしなければならない、と規定しているため(民法915条1項)、このような場合でも相続放棄は可能です(法定単純承認事由がないことが前提となります。)。

では、被相続人が死亡したことは知っていたが、債務があったことは知らなかったという場合はどうでしょうか。最高裁判所は、熟慮期間は相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識した時または通常これを認識しうべき時から起算すべきであるとしているため、このような場合でも相続放棄が可能な場合があります。

次に多い相談は、葬儀費用を被相続人の預貯金等から支出した(支出したい)が、相続放棄に問題はないかというものです。被相続人の財産を取得しているため、相続放棄が認められないようにも思われますが、身分相応の葬儀である限りは相続財産から支出しても相続放棄ができるとした裁判例があるため、支出額によっては相続放棄が認められる余地があるといえます。領収証等や支出の明細を保管・記録し、裁判所や債権者に説明できる必要があるでしょう。

なお、相続人を受取人とする保険金を取得しても、相続放棄は可能です。保険金は相続人固有の財産であり、相続財産を処分したことにはならないからです(被相続人を受取人とする生命保険金は相続財産ですので、ご注意ください。)。

相続放棄の手続

相続放棄の申述は、被相続人の最後の住所を管轄する家庭裁判所に行います。被相続人と疎遠になり生活状況がわからない場合、戸籍をたどって最後の住所を調査するのに数週間かかることもありますので、相続の開始を知った時から即座に行動することが重要です。相続放棄の申述を行うと、申述人に照会書が送られて参りますので、必要事項を記入して返信することになります。この結果、何も問題がなければ申述を受理した旨の通知が送られて手続は終了となります。最後に相続放棄申述受理証明書を取得しておくとよいでしょう。

当事務所では、相続放棄の相談及び申述の代理業務も承っておりますので、お問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。