今週、エンディングビジネスについての講演を聞く機会があり、その中でエンディングノートと遺言について、「エンディングノートは法的拘束力はないが自由に書くことができるのに対し、遺言は一定の形式を守らなければならないものの法的保護が与えられる」という形で比較されていて、とても興味深く感じました。

従来、私はエンディングノートについてあまり肯定的な評価を持っていませんでした。エンディングノートが安価な遺言のように誤解される恐れがあると思っていたからです。しかし、次第に、自由に書けるエンディングノートには遺言にない良さがあるのではないか、遺言もエンディングノートもそれぞれ作成するべきではないか、と考えるようになっております。

例えば、相続財産の範囲については、時と共に変動するものですから、頻繁に書き換えることのできるエンディングノートの方が便利です(勿論、財産の処分は遺言による必要があります。)。日常使っていたサービスの内容(公共料金、インターネットプロバイダー等々)もエンディングノートに記した方が、解約がスムーズに行くと思われます。相続財産に当たらない生命保険についても、エンディングノートに記すことで請求漏れを防ぐことができます(生命保険を使った相続対策も、保険金が支払われなければ意味がありません。)。債務のある方は、それを記すことで、相続人が相続放棄などの対応が取りやすくなります。

遺言に対する法的保護は、相続財産の処分(及び認知・廃除等の身分行為)に限られます。しかし、それは被相続人が亡くなったことに伴う権利関係の清算の一部分にすぎず、相続人は、各種契約の名義変更・公的機関への届け出、祭祀の実行と様々な手続きを行うことが求められます。エンディングノートは、こうした諸手続を円滑に進める役割をになっているように思います。