最近伺ったお話の中で、興味深かったものを紹介します。

例えば、ある自動車会社が同じ時期に生産した同じ車種の車の性能が全く同じだとして、この車がディーラーAでは月に7台売れ、ディーラーBでは1台しか売れないという場合、何が違うのでしょうか。

自動車会社が生産した時点では、どちらの車も同じ「製品」です。しかし、ディーラーは、この「製品」をそのまま売るのではありません。「製品」をより魅力的に見せるため、ショールームを工夫したり、お買い得に見せるためにオプションを付けて割引をしたり、担当者がセールスポイントを勉強してお客様に披露したり・・・。様々な工夫をして「製品」を「商品」に仕立て上げてゆきます。この商品力の向上こそが、会社の従業員の目標であり、商品力の差がそのまま売上の差に表れるというのです。

弁護士業界に目を転じた時、このお話は大変示唆に富んでおります。弁護士の世界では、「製品」は弁護士スキル・法的知識であり、「商品」は依頼者に実際に提供されるサービスというところでしょうか。弁護士業界においても、「製品」の質がそのまま「商品」の質につながるわけではないということは、あてはまるように思います。いくら知識に優れた弁護士でも、依頼者に悪印象を持たれる対応を行えば、その依頼者は二度とその弁護士を利用したいとは考えないでしょう。

勿論、法分野が細分化・専門化された中では、弁護士としてのスキルアップは大切です。しかし、スキルアップをしたのだから直ちにサービスの商品力が向上するわけではありません。自らの専門的知識をいかに依頼者に対して魅力的に映るように努めるかが、これからの弁護士業界に必要になってくるのだと思います。